JIA(7172)株主優待制度の改悪
2024年7月17日にジャパンインベストメントアドバイザー(7172)からプレスリリース「株主優待制度の変更に関するお知らせ」が発表された。※詳しくはリンク先のプレスリリースを参照のこと
変更内容<改悪>
変更前の株主優待の内容は以下の通りだ。
時期 | 株数 | 継続期間 | QUOカード | 日本証券新聞 デジタル版購読券 |
12月 | 100株 | 1年未満 | – | 3ヶ月 |
1年以上 | 500円 | 3ヶ月 | ||
2年以上 | 1000円 | 6ヶ月 | ||
3年以上 | 3000円 | 12ヶ月 | ||
200株 | 1年未満 | 500円 | 3ヶ月 | |
1年以上 | 1000円 | 6ヶ月 | ||
2年以上 | 3000円 | 12ヶ月 | ||
3年以上 | 5000円 | 12ヶ月 | ||
2000株 | 1年未満 | 1000円 | 6ヶ月 | |
1年以上 | 3000円 | 12ヶ月 | ||
2年以上 | 5000円 | 12ヶ月 | ||
3年以上 | 10000円 | 12ヶ月 |
これが以下の通り変更された。
時期 | 株数 | 継続期間 | QUOカード | 日本証券新聞 デジタル版購読券 |
12月 | 100株 | 1年未満 | – | 3ヶ月 |
1年以上 | – | 3ヶ月 | ||
2年以上 | – | 6ヶ月 | ||
3年以上 | – | 12ヶ月 | ||
200株 | 1年未満 | – | 3ヶ月 | |
1年以上 | 500円 | 3ヶ月 | ||
2年以上 | 1000円 | 6ヶ月 | ||
3年以上 | 3000円 | 12ヶ月 | ||
400株 | 1年未満 | 500円 | 3ヶ月 | |
1年以上 | 1000円 | 6ヶ月 | ||
2年以上 | 3000円 | 12ヶ月 | ||
3年以上 | 5000円 | 12ヶ月 | ||
4000株 | 1年未満 | 1000円 | 6ヶ月 | |
1年以上 | 3000円 | 12ヶ月 | ||
2年以上 | 5000円 | 12ヶ月 | ||
3年以上 | 10000円 | 12ヶ月 |
2024年12月末基準日分より変更が適用されるそうだ。変更の背景としては以下のような理由が挙げられている。
- コロナ禍における業績低迷から業績が回復し、過去最高益が見通せるようになり、増配による株主還元が可能になったこと
- ライツ・オファリングの実施により、発行済株数が約 98%増加したこと
株式数が実質2倍になったから株主優待の基準も2倍に引き上げるということなのだが、実質的には実際保有している株主は利益を棄損されており株主優待の改悪となる。私のケースを見てみよう。
私は従来から保有している100株については、2020年3月に購入しているので、上述の表の3年以上の継続保有にあたる。しかし残りの100株については2024年1月の追加購入となるため2024年12月時点では1年未満だ。
以前から保有している100株では日本証券新聞デジタル版購読券が12ヶ月分のみとなり、QUOカードの優待は従来もらえていた3000円分のQUOカードがもらえない。残りの100株を合わせて200株としてみた場合には、日本証券新聞デジタル版購読券が3ヶ月分のみとなり、100株3年以上継続保有の条件より優待から得られる恩恵は小さい。
ライツ・オファリングにより得た株式は既存株式と同じ保有期間とみなすなら理解できるが、株主優待の減額を会社の都合よく言い回しを変えて取り繕っただけに過ぎない。
優待利回り
私のよう私が購入したJIAの株式の平均購入金額は(907+357)/2=632円/株となる。
購入時株価 | 632円/株 |
保有株式数 | 100株 |
保有継続年数条件 | 3年以上 |
優待内容 | ①QUOカード ②日本証券新聞デジタル版購読券 |
100株を3年継続していた従来の優待利回りは、QUOカード、日本証券新聞デジタル版購読券を含めると30.9%あった。
継続年数 | QUOカード 優待利回り |
日本証券新聞 デジタル版購読券 優待利回り |
総優待利回り |
1年未満 | 0% | 8.3% | 8.3% |
1年以上 | 0.6% | 8.3% | 8.8% |
2年以上 | 1.1% | 14.9% | 16.0% |
3年以上 | 3.3% | 27.6% | 30.9% |
しかし、継続保有期間については従来の100株しか実質有効でない現状では、優待利回りは以下の様低下する。私の場合は従来30.9%あった優待利回りが5.93%に低下し、3年以上経過しても22.15%までしか回復しない。永続的に優待から得られる利益が低下を意味している。
継続年数 | QUOカード 優待利回り |
日本証券新聞 デジタル版購読券 優待利回り |
総優待利回り |
1年未満 | 0% | 5.93% | 5.93% |
1年以上 | 0.4% | 5.93% | 6.33% |
2年以上 | 10.79% | 10.68% | 11.47% |
3年以上 | 2.37% | 19.78% | 22.15% |
これは株主優待の改悪である、正直がっかりした。
配当の増額
しかし別途通知されている通り「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」があり、配当は増額されている。100株保有していた頃は年間1600円の配当だったが、200株に増えたこと、1株当たりの配当金額が増額されたことで4800円の配当となり差額は3200円となる。
\ | 配当金 | 保有株式数と合計金 | |||
---|---|---|---|---|---|
中間配当 | 期末配当 | 合計 | 100株 | 200株 | |
前回発表予想 (2024年2月9日) |
8円 | 8円 | 16円 | 1600円 | 3200円 |
今回修正予想 | 12円 | 12円 | 24円 | 2400円 | 4800円 |
今後も業績が拡大して増配が続く保証はどこにもなく、QUOカード3000円分が失われた損失と増えた配当金、購入した株式の購入代金(35700円)を考慮すると、株主優待と配当については株主利益が棄損したといえる。
今回の改悪を受けて、手放してしまおうと考える株主がいてもおかしくない。2024年7月17日の終値は1720円だが、同日の夜間取引では7.5%以上株価が下落している。どうやら既存株主はないがしろにされたことに失望して投げ売っているようだ。翌営業日の株価も同様に下がることが予想される。これで株価上昇に伴うキャピタルゲインも大きく損なわれた。
私もQUOカードの利回りを最大の購入動機にしてきたので、本当に失望した。今後3年QUOカードが送られてこないなら、景気後退が来る前に手放してもいいかもしれないと考えている。
※株式の購入を推奨するものではありません、あくまで自己責任で購入をご判断ください。
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